80年代に入り、自動車の電子制御技術が一気に開花し、ショーはハイテク満載の未来のクルマが集まる「夢の祭典」となる。当時は、日本のエレクトロニクス技術が、まさに世界を席巻していた。そして高度経済成長を続けた末、一気に花開いたバブル経済の時代とも重なる。出品された車には、電子制御で前後左右の姿勢を一定に保つ技術や、前輪だけでなく後輪も操舵することによって小回りが利くようにする技術、高速走行時に車体を安定させる可動式のウイングもあった。
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「ただ、ショーの車といっても、大体は張りぼてで実際に走ることのできないものが多かった。それに最先端の技術といっていたものの多くは、とても量産ペースに乗せられるようなものではなかった」。自動車メーカー幹部は当時を振り返る。しかし、そうやってできた数々の未来の車に人々は魅入られ、夢のような先進技術に胸を躍らせた。おかげで入場者数も回復し、91年には入場者が初めて200万人の大台を突破した。近年は若者の車離れもあって、入場者は150万人前後に落ち着いているが、それでも多くの人をひきつけてやまない巨大なイベントだ。アジア諸国からのツアー客も目立つようになった。中国、インドなどが猛追する自動車業界だが、まだまだ東京モーターショーには求心力がある。これまでは、自動車メーカーの新車発表の場として、また見本市としての色合いが濃かった世界のモーターショーも、最近では、未来を予感させる華やかな「TOKYO」のスタイルを取り入れるようになった。各国でモーターショーの取材経験がある自動車専門誌編集長の塚原久さんは、「欧米ではここ数年、環境問題への関心の高さから、近未来を想定した試作車の数がぐんと増えた」と語る。モーターショーは、自動車メーカーが語る夢を多くの人が共有する場になった。