加えて、自社(自分)のホームページでダウンロード販売を行う場合、代金決済の問題が生じます。1曲99セントの楽曲の代金を徴収するのに、それ以上の手間とコストをかけていたのでは、それこそ本末転倒でしょう。もちろん、ホームページで自社コンテンツやバンドなどのプロモーションを行うことは大変重要ですから、ホームページを持つこと自体を否定するつもりはありません。しかし、販路という部分に関して言えば、自前のホームページで売るよりもIチューンズ・ストアに代表されるネット上の専門ストアを利用する方が、。中ヌキされるデメリットを補って余りあるメリットがもたらされるのです。前項で紹介したIチューンズ・ストアやアマゾンでおなじみの「検索」や「おすすめ機能」ですが、いまどきのコンテンツ販売ストアが当たり前のように備えている昨今、そこからチャンスが広がることは往々にしてあるということです。ネットは埋もれた良質なコンテンツに、浮上するチャンスをもたらす和風ボサノバというニッチでマニアックなコンテンツを例に、それが世界に向けて発信されることで、一つのチャンスになると説明しました。それは、この例のようなバンド音楽だけに当てはまるのではなく、ロングテールーグラフのテールに並ぶすべてのコンテンツに言えることであり、そのコンテンツが良質なものであれば、何らかのきっかけでヘッドの部分に移動、つまり売れ始める可能性も否定できません。「[R30]マーケティング社会時評」という人気ブログがあります。この2006年7月17日付けの記事「悪魔のロングテール考」に、次のような記述がありました。ロングテールは「コンテンツとしてクオリティの高いものでありながら、マスマーケティングのタクトに乗っかれず、たまたま発売当初のタイミングではうまく売れなかったもの」を救済するためのロジックであり、もっと言えば、そういう商品を「流通させる」側のロジックである。この記事で指摘されているように、売れる資質を備えていながら、パッケージメディアなど従来の流通や販路に置かれたままで、ヘッドに移動するチャンスをみすみす逃してしまっているものは多くあります。自費出版の書籍が検索にひっかかり、ヘッドに移動デジタルコンテンツではありませんが、埋もれた商品がヘッドに移動した例をあげましょう。本を専門に検索するGoogleブックサーチというサービスで一躍世に知られるようになった、「TheGulfWarChronicles」という本があります。これは、湾岸戦争に参戦した兵士が当時の米軍について書いた、資料的価値の高い貴重な書籍ですが、2003年にIユニバース(http://www.iuniverse.co.jp)と呼ばれる自費出版システムを使って出版されました。この書籍、当初は大きな注目を集めることはなかったのですが、9・11ヘの報復として米国が引き起こしたイラク戦争などがきっかけで、対イスラム圏での戦争に関する情報をGoogleで検索する人が急激に増えました。その検索にこの書籍がひっかかり、注目が集まったのです。英語版のGoogleでキーワード検索してみるとわかりますが、入力したキーワードによっては、検索結果の上位にGoogleブックサーチで紹介されている書籍が登場することがあります。実はGoogleブックサーチ内の書籍は、題名や著者名だけでなく、その中身の全文も情報として保存されています。そのため、通常のGoogle検索(ブックサーチではなく通常の検索です)を行って、あなたが求めている情報の解答が書籍の中にあるとシステムが判断した場合、Webの検索結果に混じって、あるいはそれよりも上位に、その書籍がリストアップされるのです。
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