心理的な効果を作り出すのはデザインだけではなかったという点だ。体型を整える補整性も、「気合」にとって重要なファクターになっている。すなわち、自分の身体が外見的、感覚的にも引き締まることによって、気合が入るようだ。一般に、身体をきつく縛ることで精神統一を図るということは、多く行われている。たとえば、鉢巻。布で頭に刺激を与える光景は、運動会や受験の場ではおなじみである。時には、「根性」とか「勝利」などの文字を入れ、効果を高めようとする。その他にも、「禅を締め直す」「兜の緒を締めよ」など、身体の一部を刺激して、気持ちを引き締めることをたとえた慣用句もある。また、男性はしばしばネクタイを締め直すことで、自分自身に「さあ、仕事だ」という自己暗示をかけることができるが、女性はこうした効果を下着によって得ているようである。一方、つけ心地のよさとブランド性は「気合」に結びつくと同時に、「安心感」の効果も演出することがわかった。下着が自分の身体にフィットしていて、さらにその下着がブランドもので高価であれば、「価値あるものに自分が包まれているような心地」が生じ、そういった感覚が心の緊張や不安をやわらげてくれる仕組みがあるようだ。先の補整性は体の一部をきつく締めるのに対して、つけ心地のほうは柔らかく触れるという感覚である。同じ、身体への刺激でありながら、醸し出される心理的効果が異なるのは面白い。
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